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2002年08月19(月曜日)〜26日(月曜日)
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デメーテル・キッズクラブ あそぶ・つくる・みる
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Text&Photo By 眞鍋幸恵
「デメーテル・キッズクラブ」は、8月19日(月)から26日(月)まで一日間延長して、無料ゾーンのインターゾーンを中心に開催されました。雨が降って中止になったワークショップもありますが、会場に遊びに来て下さった幼児から大人の方まで、70名近くの来場者にワークシートで楽しんで頂きました。制作した作品は、インターゾーンの壁に1週間、展示して、他のお客さんにも鑑賞してもらいました。金曜日には、釧路市の富原中学校の美術部19名の皆さんや、翌週の月曜日には「UFOフリスビー」の模様が生活情報NHK「ほくほくテレビ」に中継されました。今回は、「テレビに空をかこう」と「キムさんの一コママンガ道場」、「UFOフリスビー」についてご紹介します。

1.「フロッタージュでテレビに空をかこう」
オノヨーコの「SkyTV」を題材にしたワークシートでは、厩舎や木の幹にワークシートを当てて、フロッタージュをした後に思い思いの空を描いてもらいました。フロッタージュをして、色々な場所を探して、そのザラザラした質感を楽しみながら、跡の面白さを感じていたようです。その次に、色んな空の様子を描きました。気球や虹、鳥などの空にあるものから、自分が空にあったら良いなと思うものまでヴァラエティに富んでいます。夕方や夜、星空まで時間も様々です。2歳のお子さんも、クレヨンを握りしめて、スクリブルの作品を作ってくれました。小学生のお子さんは、「空にはこんなものがあるんだよねぇ。」とお話をしながら、絵を描いてくれます。

2.「キムさんの一コママンガ道場」
子どもたちは、「ホームレスの女」と「物乞いの女」のキムスージャが登場している枠に、様々な背景やセリフを考えて新たなイメージを作りました。日常生活の一こまから、「昼寝をする女」や「くつろぎ」などのコミカルな作品から、蓮の花の中に横たわるという神秘的なものまで様々でした。子どもたちは、互いに描いた作品を見せ合って笑ったり、他のお客さんも立ち止まって、壁面に展示したマンガを見て微笑んでいました。観客同士のコミュニケーションが生まれることで、キムスージャへの愛着も増すようです。

3.「蔡さんのUFOフリスビーを飛ばそう」
UFOフリスビーは、紙皿を伏せて、片方を円に切り抜き空洞を作ります。12名の子どもたちは、そのフリスビーに好きなデザインを考えて、サインペンで好きな絵を描いたり、折り紙で装飾しました。皆、飛ばし方をそれぞれ工夫して、どこまで遠くまで飛べるのかを競っていました。月曜日には、蔡さんの13番厩舎の前で、一直線に並んでUFO飛ばし大会を開催しました。どこまで遠くに飛ばせるのか、低学年と中学年以上の2つの部に分けてチャレンジします。子どもたちは、「どっちが遠くまで飛んだのかな〜?」と見比べていました。ギャラリーツアーの後も、夕日に向ってフリスビーを投げ合っていました。

子どもたちは、作品を題材に自分なりのストーリーや連想をします。そこから作者の存在や意図に関心を持ったり、他の友だちとわいわい話をしながら、交流を図っていました。「デメーテル・キッズクラブ」では、希望者がある際には、ギャラリートークも行いました。予め作品を選定し、子どもを中心としたグループ・ディスカッションを行います。子どもたちは、作品に対する様々な感想を話し合い、いつも新鮮なアイディアや物語を作っていました。作品の前でそれぞれの意見を聞いていると、「間違った答えなんか無い」ことが分かります。一つの作品に夢中になっておしゃべりをしている子どもたちは、本当に満足気な様子でした。

デメーテル・キッズ大集合!学校のお友だちも来たよ
十勝管内や釧路など近隣の市町村から、多くの学校の子どもたちが授業や部活動で来場しました。900人近くの幼稚園から中学生が、学校の授業で作品鑑賞やワークショップを楽しみました。セルフガイドの「スクール・パスポート」や学校の要望に合わせてワークショップも実施しました。学校向けの教育普及について、セルフガイドとワークショップや全体の様子をご紹介します。
1.セルフガイド「スクール・パスポート」
マナークイズと5つの作品を探すクイズがついています。楽しく作品を見るマナークイズは他の美術館でもおなじみのお約束です。初めて美術展に来た子どもたちも、鑑賞マナーについて勉強することができました。5つのクイズは、「よつば」のマークを探したり、インゴ・ギュンターの作品の「骨の動物は何?」などの問題です。作品をよく観察して、推理する問題です。子どもたちはセルフガイドを片手に広い会場を回りました。牛乳ケースの「よつば」のマークを見つけると、「あったよ!」と教えてくれる子もいました。
2.スクール・ワークショップ
18日、19日の2日間に10校近くの学校が授業で来場しました。ワークショップは、小学1年生をはじめとする事前に要望のあったクラスで実施されます。18日には、中札内小学校の1年生41名がニアル・カフェで、「パピエ・ガトー 紙でつくるお菓子」や「ミニ絵本」などを体験しました。子どもたちは、美味しそうなお菓子を作って遊びます。
19日には、帯広小学校の5年生41名が、川俣正の木道の上で、新聞紙の長い綱に挑戦しました。新聞紙を細長く破って、しばってつなぎます。完成した長い綱にお客さんも驚いていました。その他にも、学校対応のワークショップでは、「フロッタージュ探偵」やデメーテルのワークシートを使ったワークショップが実施されました。
3.全体の様子と教育普及にあたって
デメーテルに来場する子どもたちは、初めて美術展に行ったり、現代アートにふれる新鮮な体験をしました。マナークイズを通して、美術展での鑑賞態度についても学習します。美術展で鑑賞のマナーは、やはり学校だけでなく、実際に展示室に訪れ経験することで習得されます。ただ、見るだけでなく友達をお話をしたり、木馬にふれてその木肌や乗り心地を経験します。オノヨーコのSkyTVのシール集めでは、トイレの中や木の上など面白い場所を見つけ、その意外性に興味を惹かれる子もいます。
デメーテルでは、競馬場という非日常的でありながら、厩務員と馬がともに生活をする空間で、美術作品に触れるという2重の体験があります。「場」の面白さと仲間同士のコミュニケションが、子どもたちの美術への興味関心や文化の受容的態度を育成するヒントになったでしょう。学校が展覧会に足を運び、美術鑑賞を経験することは、地域の芸術文化と学校の連携を考えるきっかけになるでしょう。

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