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2002年07月10日(水曜日)
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蔡國強氏火薬画ドローイング制作公開
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現代美術ライター 原久子氏によるリポート
火薬ドローイングの公開制作が行われることが、デメーテル会場となる帯広競馬場内の放送でアナウンスされた。あとオープニングまで1日を残すのみとなった今日、スタッフは猫の手も借りたい、とはいえ、蔡さんの公開制作も気になる。
蔡さんは風が出てきたので、予定していた競馬場スタンド前での実施を風の遮れるインターゾーンでしたいと、開始直前に申し出た。しかし、建物の建設申請などの都合で火を焚くことができないということで、予定通りスタンド前での制作となった。
事前に2時からはじまることを聞いていた人たちや、アナウンスを聞いて集まったオーディエンスの見守るなか、パネルを運び込む作業からはじまる。そこで、問題発生。いつも使っているタイプの材料がそろっていなかったことが、火薬等がはいった箱を開けて、ここでその事実がわかる。
パネルのうえに表情を硬くして座り込む蔡さん、慌てる制作スタッフ。
しばらくして、手元にある材料で実行することに決定。制作が再開されるというアナウンスがあり、いったん散らばったオーディエンスがすぐ に戻ってきた。
まずUFO型に段ボールがカットされ、火薬や導火線などを配置した後、そのUFO型の段ボールが紙の中心に置かれた。見守っていた若いデメーテルのボランティアたちが集めた重石が何かの儀式のように段ボールのうえに並べられた。いよいよ着火だ。オーディエンスたちに危険なので、少し下がるように蔡さんから指示がある。
緊張の一瞬は意外にもあっさりと終わる。爆音とともに火花が飛び散った瞬間、紙を必要以上に燃やさぬように素早く紙の上に描かれた火薬が燃えた跡をタオルで紙の周囲にいた人々によって押し消された。
拍手が起こる。余白ができた部分に小さな火薬ドローイングがさらにほどこされ、約1時間半におよぶ公開制作が終了した。完成したことは、蔡さんの表情が和らいだことでわかった。お疲れさま!
これからまだUFO型のバルーンの設置が待っている。中国人スタッフたちは着くやいなや現場に足を向けた。台風が接近し、雨が降りしきるなか午前4時まえ、もう次第に空が明るくなってきたいまも作業が続いている。(文・原久子)
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