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雪のウポポ (2002)  Snow Upopo (2002)
耳と耳の間 (2002)  Between the Ears (2002)


『雪のウポポ』は、輪唱のような特徴をもつアイヌ民族の合唱スタイルを、現代十勝に暮らす人々の声によって再構成されたインスタレーション作品である。作家が2002年1月から約1ヶ月間帯広に滞在し、帯広に暮らす100人以上の人々から集めた「雪のイメージ」についてのインタビューが素材として使われている。旧厩舎内に設置された20-30組のスピーカー・ユニットとアンプ、CDプレイヤー、それらを制御するコンピューターと、さらに通路上に設置された数十個のミラーボールによってまき散らされた光の粒によって、観客を『雪のウポポ』内に誘導する。
『耳と耳の間』はアイヌの口承文化「カムイユカラ」や「ウエペケレ」の中でしばしば示される魂の居場所である。それは光のドローイングとなって、緑が丘公園とかち池に設置された。その場を取り囲む4つのスピーカーからは、囁くような声が移動しながら少しずつ螺旋状に上昇していくように再生される。







Voice from the Babylon,1996


Dialogue,1998


1962年、東京生まれ。
現東京在住。

「見知らぬ他者とのランダムな出会い」が起こり続ける都市生活への興味から、生活一般の中にみられるノイズ、言語、ファッションなどを収集、集積させ、それらの関係性を作品化しようと試みている。特にここ数年は、世界中の大都市で見られる「多文化現象」にテーマを絞って活動を展開し、国際的に注目されている。

近年の発表

2000 ハバナ・ビエンナーレ(ハバナ、キューバ)
1999 アジア・パシフィック・トリエンナーレ(ブリスベン、オーストラリア)
1999 福岡アジア・トリエンナーレ(福岡)
1998 個展『Dialogue』P3 art and environment (東京)


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2002年1月〜2月
1月15日から1ヶ月にわたって帯広に滞在した岩井成昭。作品「雪のウポポ」のインタビューには、十勝の住民が100人以上も参加。参加者からは、「雪を改めて感じることができた」、「生まれて初めて雪について考えたような気がする」などの声が聞かれた。土地っ子にとっても新鮮な驚きと発見があった様子。これぞまさしく<住民参加>の王道を行くプロジェクトではないか。作品はデメーテルの会期中、帯広競馬場の厩舎内で<展示>されるが、「どんな作品になるか楽しみです」と早くも期待の声があがっている。一方、事務局通信でもお伝えした通り「十勝太り」のアーティストは、デメーテルのHPで「安くてうまい店情報」を募集。掲示板に寄せられた情報をもとに、帯広の隠れた名店探訪に余念がなかった。元来、鉄道ガード下の一杯飲み屋が好みだと言うだけあって値段と味のバランスに一家言あり。某そば屋では店主にぞっこん気に入られ、行くたびに「あれ食え、これ食え」とご馳走三昧。「素朴な芸術家って・・・素敵!!」とはインタビューに参加した岩井ファン(女性)の声。「十勝をナイスに表現してネ!」だとさ。(敬称略)

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2001年9月
つい最近まで、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムで、オーストラリアのケルベリンに滞在していた岩井成昭。パースの東、170キロほどに位置する人口1000人くらいの小さな町だ。そんな体験のすぐあとで帯広にやってきたから、ギャップも大きいかと思っていたら、彼は意外なことを言う。「ケルベリンの人口の1/3はアボリジニで、アイヌの人たちのことも、彼ら、よく知っているんです」。近年の岩井の関心は多文化混在や先住者とニューカマーの関係といったコミュニティの問題に向けられているから、移住とか開拓の歴史を持つ帯広はうってつけのフィールドかもしれない。さっそくアイヌの方たちの話を聞いたり、大空町という計画的に作られた街区に出かけていったり、調査に忙しい。年内に一ヶ月くらい滞在したいとやる気満々だ。もっとも、食べ物がうまくて、今回の二日あまりの滞在で2キロも体重が増えたと言っていたから、一ヶ月もいたらどうなるのだろう? そこだけが、ちょっと心配。(敬称略)