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花力待合室(2002)
Flower Power Waiting Room (2002)
帯広-ライトマシーン(2002)
Obihiro Lightmachine (2002)


JR帯広駅前の四季彩広場に建設された『花力待合室』は、競馬場へと向かうバス乗車のための待合室としても機能する、花に囲まれたパビリオンだ。ここで使われたキャリーケースは、染料を入れずに特別につくられたもので、プラスティック材本来の白色をしている。
2001年の夏に帯広を訪れたヴィンターとホルベルトは、四季彩広場の花壇を見てこの作品を構想した。彼らはこの作品の内部に入り、キャリーケースの穴を通して、外界を違った次元で眺めてほしいと願っている。
一方、帯広競馬場につくられた『帯広-ライトマシーン』は、文字通り通路であり、その中を観客が通行することを目的にした、直径約4・5メートル、長さ20メートルほどの作品だ。よつ葉乳業株式会社の協力を得て、2800個ほどのキャリーケースが使用された。ここでヴィンターとホルベルトは、場所と密着した“彫刻”という概念ではなく、道そのものの表現となるような“彫刻”を目指しており、その多分に東洋的な姿勢が注目される。






Kastenhaus 1550.14,2000


Kastenhaus 1666.14,1999



ウォルフガング・ヴィンター
1960年、ドイツ、オッフェンバッハ生まれ。現ドイツ在住。

ベルトルト・ホルベルト
1958年、ドイツ、コースフェルト生まれ。現ドイツ在住。

プラスティックの瓶ケースを積み上げて建築構造物のような作品をつくることで知られるユニット。彼らによって創造された空間は、隙間だらけの壁から光や風やあらゆる小さな侵入者を許してしまい、現代建築が持ついくつかの機能は期待できない。彼らはむしろ境界を創造している、と言った方が適切かも知れない。すかすかで軽やかな、魅力的な境界だ。

近年の発表

2000 アート・シカゴ2000(シカゴ、アメリカ)
1999 ヴェネツィア・ビエンナーレ(ヴェネツィア、イタリア)
1997 ミュンスター彫刻プロジェクト(ミュンスター、ドイツ)


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二人にとって始めての日本、それは帯広だった。フランクフルトから東京、北海道へと移動の連続、毎日びっしりと埋まったスケジュールをものともせず、精力的に動き回っていた。もちろん、ビール好きのドイツ人は夜の付き合いも欠かさない。競馬場は3度も訪れてじっくりと見て歩き「帯広駅から競馬場までの道のりを歩かないと作品の設置にふさわしい場所を考えられない」と言う。もともと彫刻を学んでいただけあって、景観を含めた作品の形には相当なこだわりが伺える。とてもにこやかに冗談を飛ばしあいながら、ある瞬間にふと真剣なまなざしでお互いに目配せをして、場所を吟味している。言葉を交わさなくても、二人の息はぴったりだ。しかもなぜか周りにいるものまで楽しい気分にさせてくれる。一緒にいてずっと笑い通しだったのに、帰るときにはすっかり作品のプランも出来上がっていた。いったい、いつの間に考えたのだろう。きっと彼らには天性の才能に加えて、物事を手際よく運ぶ守り神がついているに違いない。(敬称略)