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ダラス―カレワラ(2002)
Dallas-Kalevala (2002)


帯広はその気候風土から見て、彼らの出身地、フィンランドと同じ北方文化圏に属している。しかもその間には、たったひとつの国、ロシアがあるだけだ。この点に着目したカサグランデ&リンターラは、北方圏に広がる共通点、相違点を自らの身体で確かめて、ひとつの物語を編み出していこうと構想した。
彼らは2002年6月3日、車でヘルシンキを出発し、およそひと月をかけてユーラシア大陸を横断した。移動のルートは、北方遊動民と定住民が出会うところ、それぞれの生活域が接する境界に設定された。そしてサハリンを抜け、船で稚内に入り、帯広競馬場には6月28日に到着した。
この旅の途上でカサグランデ&リンターラは、北方圏に住む人々のさまざまな日常の断片を収集し、これらが作品の素材となった。(収集ポイントは24地点で、そのそれぞれが厩舎内にある24個の馬房と対応している。)作家によって収集されたものは、訪れた各地の日常生活用品や、集落の写真、映像など多岐にわたっているが、それらと一体にある彼らの旅の記憶こそが重要な素材であり、作品のスケールに奥行きを与えている。
厩舎の傍らには旅に使用した車を展示し、その旅がどのようなものであったかを物語る。








1000 Peace Flags,2000


Convoy,2000


マルコ・カサグランデ
1971年、フィンランド生まれ。現フィンランド在住。

サミ・リンターラ
1969年、フィンランド生まれ。現フィンランド在住。

1998年に結成された2人の建築家によるユニット。建築だけでなく、異分野とのコラボレーションも積極的に行っている。彼らは作品において社会や環境の問題を扱っているが、ランドスケープとしても十分な、その大規模な表現は、建築家ならではのものといえるだろう。不思議と情緒が漂う作品風景からは、物語性すら感じることができる。

近年の発表

2001 横浜トリエンナーレ(横浜)
2000 ハバナ・ビエンナーレ(ハバナ、キューバ)
2000 ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展(ヴェネツィア、イタリア)


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横浜トリエンナーレのオープニング翌朝、カサグランデとリンターラは北海道に飛んできた。知的な雰囲気の、もの静かな二人組だ。デメーテル招待作家の中では最年少。建築家でもあるせいか、他のアーティストと、どこか様子がちがう。「横浜から帯広に来て、ほっとしました。僕たちは森の人間ですから」。彼らの故郷はサンタクロースとムーミンが住む森と湖の国、フィンランド。カレワラと言う天地創造から始まる壮大な神話がある。懇親会の席上、リンターラはおもむろに立ち上がってその一節を朗々と吟じる。興に乗ってくるとよくやるのだそうだ。素敵な文化をもっているなぁ、と感心していると、小沢剛氏のオープニングではストリップを披露して喝采と顰蹙を浴びたという。知的? 良く分からなくなってきた。「フィンランドと北海道の間にあるのは、ロシアだけです。みな同じ北方文化圏に属している感じがします」と、彼らは言う。頭の中で、地図を地球儀に置き換えてみる。案外近いのかも知れない。(敬称略)