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物乞いの女、ラゴス、2001、12分
A Beggar Woman, Lagos, 2001, 12:00
ホームレスの女、カイロ、2001、6分33秒
Kim Sooja A Homeless Woman, Cairo, 2001, 6:33
今回の、『物乞いの女』では、ナイジェリア、ラゴスの街頭で、右の掌を上にして座り続ける。人々の脚だけがみえ、やや遠巻きに通り過ぎてゆくようであるが、近寄って小銭を与える人も現れる。物乞いという卑しい行為は、宗教の修行のひとつである托鉢につながる。そして人々は喜捨をすることで救済を託す。彼女は、物乞いという小さな身振りを通して、人々の間に生きてゆくことの孤独と連帯を探ろうとしている。
『ホームレスの女』では、カイロの街角の小さな広場に、行き倒れたかのように横たわる。遠巻きに眺める人、あえて無視し去る人、そして心配して様子をみようと肩をたたく女性など様々な反応の中で、彼女は動かない。
いずれの作品でも、現実の街の時間と、その中で身じろぎしない彼女の時間とが交錯して、ある覚醒の瞬間がおとずれる。そして、映像を見ているわれわれにも−−−。
キム・スージャのヴィデオはたんにパフォーマンスの記録ではない。みる者は参加することを求められる。それは心理的にだけではなく、時にはプロジェクションの光束に身をさらしてスクリーンに影を落とすような、身体的なものであってもよいかもしれない。(中村敬治)。
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