帯広のためのプロジェクト 天空にあるUFOと社(2002)
Project for Obihiro
Sky Bound UFO and Shrine(2002)
UFO型飛行船(直径30mx10m)が競馬場に現れ、その下には朱紅に塗られた社が結ばれている。オープニングの日、ガスが充填され空にUFOが昇り立つ。社は地を離れて中空に引き上げられる。帯広の広く青い空に浮かぶ白いUFOと朱紅の社は、夜には大地の上の月のように白く静々と、或いは希望に満ちた虹色にライトアップされる。
8月11日の夕刻、UFOの外周と社の床下に取り付けられた花火(ローマンキャンドル)に点火する。円形に斜め上方に吹き出すキャンドル花火にUFOは火炎の王冠と変わり、そして社は飛び立つロケットのように炎を地上に叩きつける。
垂直軸に向かうこの作品は、そこに拡がる地平線をいっそう際立たせるだろう。そして、過去の開拓と進入や宗教を含む文化の移植の歴史を乗り越える豊かで無垢な大地の力をこの作品は象徴している。(蔡國強)
蔡國強は上記のような構想を『デメーテル』のために発表したが、設営時の台風による強風のためバルーンの構造体が破損し、安全面における配慮からUFOを浮上させることは断念した。直径30mのUFOは空気を注入して地上に設置され、壮大な夢の残骸として作品化された。
なお、このような展示内容の変更から、UFOを使った火薬イベントも中止することとなった。(『デメーテル』総合ディレクター 芹沢高志)
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