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時折、形を成す中小210の断片(2002)
210 Small and Medium Pieces Occasionally Taking Shape(2002)
馬についての脈絡のない想像の現代キッチュ風シャドーレンダリング(2002)
Shadow Renderings of Random Imaginations of Horses in Contemporary Kitsch(2002)
中国製、インド製、タイ製、その他原産国不明の馬たち(2002)
Horse Sculptures Made in China, India, Thailand and of Unknown Origin (2002)

『時折、形を成す中小210の断片』は、黄金色に輝く本物の馬の骨格が、モビールのように中空で風にゆれている作品である。欲望の象徴としての黄金、その欲望によって成立している競馬というギャンブル…一攫千金を夢見てこのゲームに参加する人間たちを、馬たちはどのように見ているのだろうか。黄金の骨格は、風が吹いてぶつかりあい、からからと空虚な音を立てながら、ゴーストダンスを踊り続ける。
他にも、厩舎の壁に馬の影が揺らめく『馬についての脈絡のない想像の現代キッチュ風シャドーレンダリング』と、世界のさまざまなおもちゃが並べられる『中国製、インド製、タイ製、その他原産国不明の馬たち』が発表されている。



 


World Processor


SHAHEED,1991


1957年、旧西ドイツ、ハノーファー生まれ。
現ニューヨーク在住。

メディア・アートの革新者。境界を越えた現象を可視化して観客に投げかける。 観客が体験して初めて成立する作品も多い。それは時として問題提起に、また、時にはまったく思いがけない提案ともなる。ジャーナリストとしても活動しているが、あらゆる制約から自由でいるために「アート」を表現手法として選んでいる。近年の興味は「外交」に向かっている。

近年の発表

2001 個展『Post EMP (Time as ailment of eternity)』(ユニバーサル・コンセプツ・ギャラリー、NY、米国)
2000 恒久展示『エキソスフィア/グローブ・フィールド』(オウトシュタッド、ドイツ)
1999 ボストン・サイバーアーツ・フェスティバル(ボストン、米国)
1998 個展『リプブリーク・ドット・コム』(デュッセルドルフ・クンストハーレ、ドイツ)




「ン、オイシイ、オカワリ!」帯広空港の到着ゲートで無料配布の牛乳をごくりとひと呑みしたインゴ・ギュンターの口から、日本語が飛び出した。幸先よさそうだ。
市内に向かう車中、窓の外には中世ドイツの建物を模した「グリュック王国」のお城が見える。「僕が生まれた場所にあれの本物が建ってるよ」故郷を早くに離れ、学生時代から世界中を飛び回っている彼は、奇妙なデジャヴュ感覚を覚えたらしい。ちょうど一年前に、本物の傍らを車で通ったのだという。
会場となる競馬場に入ると、リラックスした様子が一変して獲物を追うハンターの目付きになる。デジタルビデオは彼の頭脳と一体化し、制作のための狙いを定めているようだ。鋭い質問やアイデアを矢継ぎ早に投げかけてくる。
夕食では生牡蛎6個と蟹をたいらげ、帯広の食事と自然に大満足。チャーミングなやんちゃぶりで皆を巻き込み、「11月に戻ってくるよ」と言い残して去っていった彼は、まるで台風のようだった。(敬称略)